事業主の方へ
高年齢者が働き続けるための事業主の義務・努力義務
事業主は、自社で雇用する労働者に関する制度を就業規則などで定めるとき、
- 60歳以上定年の義務(定年年齢の下限)、
- 65歳までの雇用確保の義務(高年齢者雇用確保措置)、
- 70歳までの就業確保の努力義務(高年齢者就業確保措置)
が課せられています。また、これらの制度の導入状況を報告する義務が課せられています。
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60歳以上定年の義務(定年年齢の下限)
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事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければなりません。(高齢法第8条)
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65歳までの雇用確保の義務(高年齢者雇用確保措置)
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事業主は、その雇用する労働者の65歳までの安定した雇用を確保するため、
- 65歳までの定年引上げ、
- 定年の定めの廃止、
- 65歳までの継続雇用制度の導入
のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を実施する必要があります。(高齢法第9条)
以下のリンクに掲載されている高年齢者雇用確保措置におけるQ&Aもぜひご参考にしていただければと思います。
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/qa/index.html▲ 閉じる -
70歳までの就業確保の努力義務(高年齢者就業確保措置)
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さらに事業主は、その雇用する労働者の70歳までの就業機会を確保するため、
- 70歳までの定年引上げ、
- 定年の定めの廃止、
- 70歳までの継続雇用制度の導入(他の事業主によるものを含む)、
- 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入、
- 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入、
のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を実施するよう努めることとされています。(高齢法第10条の2)
以下のリンクに掲載されている高年齢者就業確保措置におけるQ&Aもぜひご参考にしていただければと思います。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html▲ 閉じる -
継続雇用制度
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「継続雇用制度」とは、定年などに到達して雇用が終了する者を、本人が希望すればその後も引き続いて雇用する、「再雇用制度」や「勤務延長制度」などをいいます。
65歳までの雇用確保措置(義務)として継続雇用制度を導入する場合、原則として希望者全員を対象とする必要があり、対象者を限定する基準を定めることが禁止されています。また、継続雇用先は自社とグループ会社の範囲に限られます。
一方、70歳までの就業確保措置(努力義務)として継続雇用制度を導入する場合、対象者を限定する基準を定めることが可能です(※)。また、継続雇用先を自社とグループ会社以外の他社とすることも可能です。
※ただし、高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえたものであり、他の労働関係法令や公序良俗に反しないなどの条件があります。
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高年齢者雇用確保措置の経過措置の終了(2025年3月31日)
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2012(平成24)年度までに、労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主は、2025(令和7)年3月31日までは、経過措置として老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められています。
2025(令和7)年4月1日以降は、高年齢者雇用確保措置として、以下のいずれかの措置を講じる必要があります。
(※経過措置の終了によって、2025(令和7)年4月1日以降、65歳までの定年の引き上げが義務になるわけではありません。)- 定年制の廃止
- 65歳までの定年の引き上げ
- 希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入
なお、経過措置終了前の就業規則において、経過措置終了後には希望者全員を65歳まで継続雇用する旨が定められていない場合は、経過措置終了に伴い、就業規則の変更が必要となります。
ご不明点がございましたら、都道府県労働局やハローワークにご相談ください。▲ 閉じる -
継続雇用制度を利用した有期雇用労働者の無期転換申込権の特例
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有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる「無期転換申込権」が発生します(労働契約法第18条第1項)。
ただし、定年後引き続き継続雇用される有期雇用労働者については、一定の条件と手続きのもとで、「無期転換申込権」が発生しない特例があります。(専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法第6条、第8条第2項)。
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創業支援等措置について
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70歳までの就業確保措置のうち、雇用によらない措置を「創業支援等措置」といい、具体的には、以下の選択肢があります。
- 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
- 70歳まで継続的に自社又は他の団体が実施する社会貢献事業に従事できる制度の導入
- 事業主が自ら実施する社会貢献事業
- 事業主が委託、出資(資金提供等する団体が行う社会貢献事業)
また、創業支援等措置を講じる場合は、雇用による措置と異なり、労働関係法令が適用されません。このため、次の(1)~(3)の手続を行う必要があります。
- 創業支援等措置の実施(業務の内容や高年齢者に支払う金銭等)に関する計画の作成
- (1)の計画について過半数労働組合等の同意を得る
- (2)の同意が得られた計画を労働者に周知する
以上(1)~(3)の手続を経て制度を導入した後は、当該計画に沿って、個々の高年齢者と業務委託契約等または社会貢献事業に従事する契約を締結する必要があります。
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高年齢者雇用状況等報告
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事業主は、毎年6月1日現在における、高年齢者が働き続けるための制度(定年制の廃止や定年の引き上げ、継続雇用制度、創業支援等措置)の導入状況を厚生労働大臣に報告する必要があります。(高齢法第52条)
厚生労働省では、報告された内容を集計し、結果を公表しています。
また、報告書記入方法の詳細については、以下のリンクで動画や記入例を紹介しております。
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高年齢者が働き続けるための支援制度
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高年齢者が働く環境の整備に対する助成金(65歳超雇用推進助成金)
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65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備等、高年齢の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する措置を講じた場合に助成を受けることができます。
※65歳超雇用推進助成金についてご不明な点は、お近くの(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構都道府県支部高齢・障害者業務課にお問い合わせください。
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70歳雇用推進プランナー等による相談・援助、その他支援サービス
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(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)では、高齢者の雇用に取組む事業主の方への相談・援助を行っています。
・70歳雇用推進プランナー等による相談・助言
高年齢者の活用に必要な環境の整備に関して、社会保険労務士や中小企業診断士等、実務的な知識や経験を有する「70歳雇用推進プランナー」・「高年齢者雇用アドバイザー」に無料で相談することができます。
たとえば・・・ ▷人事・労務管理制度 ▷賃金制度 ▷退職金制度 ▷職場の改善 ▷就業規則の改正 についてなど
・企画立案サービス
高年齢者の雇用管理改善並びに生涯現役社会の実現に取り組む場合、「70歳雇用推進プランナー」等による個別課題について必要な条件整備のための具体的な解決案作成の支援を受けることができます。
・研修サービス
中高齢従業員と職場の活性化を支援するため、事業主の要望に合った研修カリキュラムを「70歳雇用推進プランナー」等が提案し、研修を行います。
・企業診断システム
無料でシステムによる分析や診断を通して、高齢労働力の活用に向けて取り組むべき課題と方向性を整理することができます。
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高齢者雇用に関するイベント・啓発活動
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(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)では、高齢者雇用に関するイベント・啓発活動として、「生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」、「高年齢者活躍企業コンテスト」、「高年齢者就業支援月間」(「高年齢者活躍企業フォーラム」や「生涯現役社会の実現に向けた地域ワークショップ」を開催)、啓発誌「エルダー」の発行などを行っています。
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高齢者雇用に関する情報提供
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(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)では、高齢者雇用に関する情報の提供を行っています。具体的には、高齢者雇用の事例を検索できる「高年齢者活躍企業事例サイト」や、企業内での取組に活用できる支援ツールが利用できます。
「70歳雇用推進マニュアル」では、70歳までの就業機会の確保に必要な施策、人事制度改定の手順などを紹介しています。事例を取りまとめた「70歳雇用推進事例集」、「65歳超雇用推進事例集」と併せてご活用ください。
70歳雇用推進マニュアル、70歳雇用推進事例集・65歳超雇用推進事例集
産業ごとに高齢者雇用に関する具体的な実態把握を行い、企業の高齢者雇用をより一層促進するために必要なガイドラインを策定します。現在、90を超える業種のガイドラインが紹介されています。
ワークシェアリング、短時間勤務の活用事例など、各企業の高齢者雇用に関する先進事例をまとめています。都道府県、業種、従業員数、制度改善項目等で検索していただけますので、是非ご利用ください。
役職定年・定年制の見直し、ジョブ型人事制度の導入など、高齢者の活躍に取り組む企業の事例を紹介しています。高齢者の雇用や処遇の改善等を検討されている事業主や人事労務担当の皆さま、ぜひご覧ください。
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高年齢労働者の安全衛生対策
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高齢者が安心して安全に働ける職場環境の実現が求められている中、高年齢労働者の安全と健康確保のために事業者及び労働者が取り組むべき事項をガイドライン(通称:エイジフレンドリーガイドライン)にとりまとめるとともに、高齢者が安心して安全に働くための職場環境の整備等に要する費用を補助する事業(エイジフレンドリー補助金事業)などを実施しています。
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中高年齢者等の再就職のための事業主の義務・努力義務
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再就職援助措置
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解雇等(※1)により離職する高年齢者等には、下記の(ア)~(ウ)などの再就職援助措置を講じるよう努めることとされています。
- 求職活動に対する経済的支援
- 再就職や教育訓練受講等のあっせん
- 再就職支援体制の構築
※1 解雇(本人の責任によるものを除く)その他事業主の都合による離職、平成24年改正法の規定により定められた継続雇用制度の対象となる基準に該当しないことによる離職、創業支援等措置の対象者基準に該当しないことによる離職など
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求職活動支援書
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解雇等(※2)により離職することとなっている高年齢者等が希望するときは、離職することが決まった後、速やかに次の事項を記載した「求職活動支援書」を作成し、 本人に交付しなければなりません。
※2 解雇(本人の責任によるものを除く)その他事業主の都合による離職、平成24年改正法の規定により定められた継続雇用制度の対象となる基準に該当しないことによる離職
求職活動支援書に記載する事項
- 氏名・年齢・性別
- 離職予定日(離職予定日が未定の場合はその時期)
- 職務の経歴(従事した主な業務の内容、実務経験、業績及び達成事項等)
- 有する資格・免許・受講した講習
- 有する技能・知識・その他の職業能力に関する事項
- その他の再就職に資する事項 ※解雇等の離職理由は記載しません。
様式例(PDF)
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多数離職届
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同一の事業所において、1か月以内に5人以上の高年齢者等が解雇等(※3)により離職する場合は、離職者数や当該高年齢者等に関する情報等を、当該届出に係る離職予定日(離職の全部が同一の日に生じない場合は、当該届出に係る最後の離職予定日)の1か月前までにハローワークに届け出なければなりません(※4)。
※3 ※1(再就職援助措置)と同一
※4 多数離職の届出をしない場合、過料の対象となることがあります。▲ 閉じる
高年齢者の再就職のための支援制度
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特定求職者雇用開発助成金
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・特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
60歳以上の高年齢者などを、ハローワーク等の紹介により、無期雇用など継続して雇用することが確実な労働者として雇い入れた場合に助成(最大60万円)を受けることができます。
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キャリア人材バンク
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(公財)産業雇用安定センターでは、就労意欲が高い60歳以上の高年齢者を求職者登録し、66歳以降も働き続けることが可能な求人情報(受入情報)を収集するとともに、その能力の活用を希望する事業者に紹介を行う、「キャリア人材バンク」を構築してマッチングを行っています。
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